待望のプロ1号だ。2回2死、ロッテのドラフト1位・安田は高々と打ち上げた打球が「本塁打」になったと歓声で気付いた。「高くて入らないと思っていたので一生懸命走りました」。ダイヤモンドを1周しながら表情は和らぎ、満面の笑みでベンチに戻った。

昨季最多勝のソフトバンク東浜から打った一時同点のソロ。「無我夢中。まだ実力とは思ってない」と言ったが、低めの直球を捉えて115メートル先の右翼ホームランテラスまで運んだ。記念球は、大阪の実家に送るつもりでいる。

長かった。9月23日の再昇格からスタメンに名を連ねるも、直近4試合は無安打。前日終了時で打率は1割5厘だった。出場13試合目、45打席目で架けた初アーチ。「やっと出た。ずっとチームに迷惑を掛けてきたので」が本音だろう。

大阪・履正社で高校通算65発の意地もある。「ホームランにこだわってやってきた。いいピッチャーから打てて少しですけど自信になった。1本で満足せずに積み重ねていきたい」と引き締めた。初安打、初本塁打をクリアし、あと1つ、実現したいのは本拠地初安打。井口監督には来季新人王の資格を残してやりたい親心がある。“リミット”の60打席まであと13。4日の西武戦で打てれば最高だ。【鎌田良美】

▼高卒ルーキーの安田が2回にプロ初本塁打。高卒新人の本塁打は今年の清宮(日本ハム)村上(ヤクルト)がいるが、ロッテでは90年林以来28年ぶり8人目。また1シーズンに3人の高卒新人が本塁打は、4人が打った67年(阪神江夏、サンケイ奥柿、広島三村、西鉄柳田)以来51年ぶり。