今季で引退する広島天谷宗一郎外野手(34)が4日、マツダスタジアム内で会見を開いた。

「何とか戦力になりたかったが今年は1度も1軍に上がれなかった。丸や野間がケガしたときに1軍に呼ばれなかったのが大きい。潮時かなと思いました」と決断への経緯を説明した。

小柄ながら攻走守そろい、08年にマーティー・ブラウン監督に見いだされてレギュラーを獲得。野村謙二郎監督になった10年は開幕から3番打者を務めた。同8月、マツダスタジアムの外野フェンスによじ登って本塁打性の飛球をとらえた「スパイダーキャッチ」が話題を呼んだ。

福井商から01年ドラフト9巡目で入団。高校から下位でプロ入りして、主力になり、17年間ユニホームを着た例はめずらしい。「一番は野球が好きだったこと。ほとんど苦しい時間だったが、野球が好きなのと、ファンの皆さんの声援をもう1度聞きたいという思いが強かった。なにくそ、と奮い立たせてくれた。こんなに長くできるとは思わなかった。野球小僧がそのまま大人になったような、しょうもないプロ野球選手でしたが、毎日毎日が充実していました」。一番の思い出を聞かれ、15年の開幕2戦目のDeNA戦を挙げた。「黒田さんとお立ち台に上がれたあの試合はすごくうれしかった。何回立ってもいいものだが、横に黒田さんがいたので特別だった」と晴れやかに笑った。

通算成績は843試合、493安打、81盗塁、打率2割5分5厘。

4日の巨人戦(マツダスタジアム)に出場選手登録され、試合後にはセレモニーも行われる。