25日のドラフト会議での指名候補選手を紹介する「ヒーロー候補生」を連載する。第2回は金沢星稜大・泉圭輔投手(4年=金沢西)。

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この1年で泉の環境は、がらりと変わった。毎試合のように訪れるプロ球団のスカウト。ドラフト会議の約1週間前には、連日取材が殺到している。187センチの長身にすらりと長い手足。抜群の素材を持つ右腕は、同大学初のプロ野球選手を目指す。

全国とは無縁の野球生活だった。高校も大学も全国大会出場経験はなし。唯一小学5年生の時に経験した全国大会も、泉は控え投手で出場はなかった。「高校で野球を辞めようと思っていた」が、周囲の勧めで続けることを決めたほど。大学2年時までは牛丼チェーン店「すき家」でアルバイトをしていた。プロを意識したのは昨年の秋。社会人野球チームから誘いが来たのと同じタイミングで、プロ球団のスカウトが頻繁に訪れるようになった。「プロを狙えるのであれば、狙ったほうがいいと思いました。迷ったんですけど、後々後悔しないように」と「プロ1本」の決断をした。

入学時72キロだった体は、下半身中心のウエートトレーニングの成果で現在は83キロに。140キロだった球速はこの秋の北陸大学リーグ戦で147キロを計測した。「体がもっと出来上がってくれば150キロ、それ以上も夢じゃないのかなとは思っています」。北陸の地から、シンデレラボーイが誕生しそうだ。【磯綾乃】

◆泉圭輔(いずみ・けいすけ)1997年(平9)3月2日、石川・金沢市生まれ。三馬小3年の時に三馬クラブで軟式野球を始め、清泉中では軟式野球部に所属。金沢西では1年夏からベンチ入りし、最高成績は県16強。金沢星稜大では1年秋からベンチ入り。50メートル6秒3。遠投110メートル。187センチ83キロ。右投げ右打ち。