天を仰ぎ、肩を落とした名伯楽は、潔くバトンタッチした。DeNA高田GMが1人目小園を指名し、4球団競合の抽選でくじ引き役を務め外した。外れ1位には東洋大・上茶谷。再びヤクルトとの2球団競合の抽選に、高田GMの姿はなく三原球団代表が壇上へ。右手で引き、となりの小川監督を横目に喜ぶ同代表へ、後方のテーブルから笑顔で拍手を送った。

南場オーナーから直々に、退任前最後の大仕事を託された。その舞台裏をオーナーは「社長と代表を味方につけて説得しました」と明かす。日本ハム監督時代に2回(84、85年)、ヤクルト監督時代に1回(09年)。いずれも外しており「俺はくじ運がないんだ」と固辞し続けた抽選。またしてもくじ運からは見放されたが、外れ1位はしっかりと編成部門後任の三原代表が、上茶谷という即戦力右腕を引き当てた。

球団誕生から7年、チーム強化の柱となったドラフト戦略。「最後に当てて、手みやげにしてみんなに喜んでもらいたかったけどね」と悔やんだが、補強ポイントである右投手の交渉権を獲得した。育成合わせて7選手指名し、最後の会議を終えて感慨深く言った。「もう、これで終わりだ」と、確かな足跡を残しDeNAの未来を託した。【栗田成芳】