故沢村栄治氏を記念し、最も優れた先発完投型の本格派投手に贈られる「沢村賞」の選考委員会(堀内恒夫委員長)が29日、都内で行われ、巨人菅野智之投手(29)を2年連続2度目の受賞に選んだ。

2年連続の受賞は51、52年杉下茂(名古屋)56~58年金田正一(国鉄、3年連続)65、66年村山実(阪神)95、96年斎藤雅樹(巨人)に次いで、22年ぶり5人目。

原則的な選考基準は(1)15勝以上(2)150奪三振数以上(3)10完投以上(4)防御率2・50以下(5)投球回200イニング以上(6)登板25以上(7)勝率6割以上の7項目。今季は12球団で唯一、13年金子千尋(オリックス)以来の全項目クリアを達成していた。

5人の選考委員が全員、菅野を推薦し、委員会はわずかに10分少々で終了した。堀内委員長は「非常に今年はスムーズに進行いたしました。全会一致で2年連続で菅野くんに受賞してもらうことになりました」と説明した。

対抗馬には、4項目(15勝、159奪三振、27登板、勝率6割8分2厘)をクリアした大瀬良大地(広島)が挙がった。平松政次委員は「前半はすごく良かった」、堀内委員長は「優勝したチームに大変貢献したが、この賞は日本のNO・1投手を選ぶ賞。2人は考えにくい。今年は残念だが、来年に期待したい」と話した。

ちなみに、今回から選考基準の6項目以外に、先発して7回、自責点3以下を何試合記録したかの「日本版クオリティー・スタート(仮称)」も参考項目となっていた。近年は完投数が減少していることを考慮しての処置だったが、菅野が10完投をクリアしたことから、今回は話題に上らなかった。