吸収して、引っ張れ! 阪神岩貞祐太投手(27)が日米野球(11月9日開幕、東京ドームほか)に招集されたことが29日、発表された。チームの秋季練習はこの日で打ち上げ。矢野燿大監督(49)は一流イズムの吸収を求めるとともに、来季は投手陣のリーダーとして期待した。岩貞自身も「自分を律して」と自覚十分。飛躍につなげる晴れ舞台にする。

届いた吉報に岩貞は驚きの表情を浮かべた。日米野球に選出され「ないものだと思っていたので、びっくりしました」。横浜商科大2、3年で選ばれて以来の日本代表。今季は7勝10敗に終わり「背負うに値しない成績と技術ですが、選ばれたからには他の方々の立ち居振る舞いのすべてを吸収するつもりです。キャンプに匹敵する内容の濃さにしたい」と謙虚に意気込んだ。

矢野監督もうなずいた。自身も選手、コーチとしても代表経験豊富だ。この日は秋季練習の最終日。ブルペンに入った岩貞に直接「いい意味で楽しめる部分もあるし、もちろん日本代表として行くわけだから緊張感もあると思うけど、学べることはあると思う」と声をかけた。貴重な経験を「つなげてほしいよ。頑張ってもらわんと。貯金を増やせるような先発になっていってもらわないと困る」と来季の飛躍を切望した。

指揮官の期待はそれだけにとどまらない。先発、中継ぎのシャッフルが検討されている中においても「中継ぎはあまり考えにくいな」と断言。さらに「先発を引っ張っていってもらうという立場にもなってくる」と続けた。来季は投手、野手で敷かれる可能性もあるキャプテン制についても「オレの中の候補には入っている。もし投手キャプテンを作るとしたらね」とリーダーとして期待した。

岩貞も自覚は十分。指揮官の話を伝え聞くと「年齢的にも若い方ではない。成績で引っ張れるに越したことはないけど、シーズン中の過ごし方とかで手本になれれば。大学で教わって口で言うより、自分を律してやってきた。やることは変わらない」ときっぱり。侍ジャパンをきっかけに、投手陣のリーダーへ。岩貞の新しい1年は、もう始まっている。【池本泰尚】