今夏の全日本大学選手権で優勝した東北福祉大(仙台6大学)の1番吉田隼外野手(4年=国士舘)がJR東海(愛知)に、2番中野拓夢内野手(4年=日大山形)が三菱自動車岡崎(愛知)に内定したことが10月31日、分かった。東海地区の社会人強豪チームに進み、都市対抗優勝を狙う。

東北一の名門、福祉大を14年ぶり3度目の大学日本一に導いた「強力1、2番コンビ」が社会人野球でも暴れる。元西武の大塚光二監督(51)からは「1番吉田と2番中野は絶対変えない」と言われるほど、信頼されていた鉄板デュオだった。

右のリードオフマン吉田は国士舘出身。個性的な打撃フォームで全国に名をとどろかした。打席内で思いきり下半身を沈め、左足を勢いよく上げてから打ち出す姿は「四股踏み打法」と命名された。勝負強い打撃が光り、優勝した今夏の全日本大学選手権ではMVPを獲得した。白鴎大(関甲新学生)との準々決勝では延長タイブレークの末、10回裏無死満塁からサヨナラ中犠飛で試合を決め、国際武道大(千葉県)との決勝では3安打を放った。足にも自信があり、今秋のリーグ戦では12盗塁で初の盗塁王を獲得し、ベストナインと最優秀選手賞の3冠に輝いた。

左の攻撃的2番中野は日大山形出身。高2夏(13年)の甲子園では奥村展征遊撃手(現ヤクルト)と二遊間を組み、県勢初の全国夏4強に貢献した。福祉大入学後は両打ちだった大塚監督の助言で、一時期はスイッチヒッターにも取り組んだ。現在は左打ちに専念し、快打を連発。初回に1番吉田が出塁すると、バントを使わず積極的に打つことで試合の流れをつかんできた。自慢の守備では二遊間どちらもこなせて、守備範囲が広く肩も強い。ベストナインは遊撃手で1度、二塁手で2度受賞している。

今秋は、夏に続いての全国制覇を狙ったが、明治神宮大会東北地区代表決定戦の決勝で敗退し、全日程を終えた。卒業後は都市対抗優勝、日本選手権優勝に目標が切り替わる。JR東海は28度、三菱自動車岡崎は10度の都市対抗出場を誇る。同じ東海地区でしのぎを削り、火花を散らす。