広島野間峻祥外野手(25)は8日、秋季キャンプへ向けてマツダスタジアムで体を動かした。今季は初めて規定打席に到達し、打率2割8分6厘をマークした。それでも直球に対する打撃に課題を感じ、日本シリーズで痛感させられた。強化指定選手に指名された秋季キャンプで課題克服に努め、絶対的レギュラーを目指す。

飛躍のきっかけをつかんだシーズンはもう過去のもの。野間の目はすでに来年を向いている。与えられた休養期間も、目前に控える秋季キャンプへの準備時間に充てる。強化指定選手の1人に挙げられ「いつも通りです」とニヤリ。今秋も振って、振りまくる覚悟はできている。

今年は外野の一角を奪い、初めて規定打席に到達した。打率2割8分6厘を残した。課題とされた打撃で好結果を残しても東出打撃コーチは満足しない。「真っすぐをとらえきれないところがある」と指摘する。野間も「パ・リーグの真っすぐが強い投手に対して(課題が)出ていた。しっかりとらえられれば、また変わってくると思う」と自覚する。日本シリーズは打率2割3分8厘で最終戦では代打を送られた。

速球対策が今秋のテーマとなる。「間をしっかり持って、呼び込んで(球を)つかまえないといけない。力任せではダメ」。初めてレギュラーとして戦った今季は打席ごとに構えの形がわずかに変わることもあった。バットのグリップエンドの空ける間隔も指1本分から最長で3本分ほど空くこともあった。「分からなくなっていた」というほど固まった理論も形も、まだ持っていない。

持ち前の俊足と守備力はチームの大きな武器であることを証明した。盗塁は自己最多17個。この日発表されたゴールデングラブ賞は逃したが、実質1年目で外野部門5位に入った。緒方監督が目指す機動力を前面に押し出し、投手を中心に守り勝つ野球に欠かせないピースの1つとなった。打力の秘めた力も計り知れない。東出打撃コーチは「ポテンシャルは20発、30発打てるだけのものはある」と認める。あとは隠れた才能をどう引き出すか。シーズン前に書き残した今季の目標は「2割9分以上」だった。「来年は3割を打ちたい」。もっと大きな飛躍のために、鍛錬で力強い助走に変える。【前原淳】