大リーグのマリナーズを退団した岩隈久志投手(37)が27日、仙台市内の広瀬中を訪れ、いじめ撲滅プロジェクト「BE A HERO」のイベントに参加した。発起人として全校生徒約1200人に講義を行った後、野球部とソフトボール部を激励訪問。来季の所属先が注目されている中、男子生徒から意中の球団を問われる“直球質問”に苦笑い。オファーを受けている楽天復帰の可能性も認め、国内外の選択肢から決断を下す意向を示した。

“初球”から、岩隈に真ん中ストレートが投げ込まれた。野球部&ソフトボール部男女77人と交流した質問タイム。3年生投手の生徒が真っ先に手を挙げた。「来年はどこの球団でプレーしたいのですか?」。いきなり核心を突く言葉に戸惑いの表情を見せたが、しっかりと“捕球”。「正直、まだ決まっていません。各球団からお話をいただいている状態。しっかり考えて決めたい」。真摯(しんし)に現状を説明した。

楽天への8年ぶり復帰に関しても言及。「(獲得意思は)すごくありがたいことだと思っています。可能性はあると思う」。“故郷”愛も明かした。「家もありますし、仙台に来ると帰ってきたなあという感じになります」。今月上旬には練習に米関係者を招くなど、メジャー残留も諦めてはいない。「ウインターミーティングもこれからですし、メジャーとの話はこれから。必要とされるところでチャレンジしたい思いが強い。めどは決めてないですが、早く決めて次に進んでいきたい」。子どもたちの楽天入りへの期待も感じ取っていた。

いじめ撲滅を目的とした「HEROになろう」の講義では壇上に立った。思春期の中学生へ向け「1人1人がヒーローになって、正しいことを格好良いと思い、行動できて、発言できて、人を助けられる人間になってほしい」。学校生活で起こり得る事例をディスカッションしながら伝えた。昨秋に手術した右肩の影響により、今季は渡米7年目で初めてメジャー登板なし。岩隈自身もヒーローとなる場所を見つける決断が近づいている。【鎌田直秀】