虎投よ、丸から逃げるな! 阪神矢野燿大監督(49)が11月30日、サンテレビの「熱血! タイガース党」に生出演し、超強力打線が完成した巨人相手にも逃げない姿勢を求めた。この日、丸佳浩外野手(29)が広島から巨人へのFA移籍を表明。2年連続セ・リーグMVPの加入にも動じず、投手陣に「逃げないのが一番」とハッパをかけた。

テレビ生出演の直前、矢野監督は球界のビッグニュースに思わず苦笑いした。2年連続セ・リーグMVPの丸がこの日、広島から巨人へのFA移籍を表明。「すごいよな、ジャイアンツ。どんな打順組むんやろ」。宿敵の予想布陣を読み上げると、「笑いが出るな。なあ、笑えへん? 笑ってまうやろ、笑っとこうや、今の間に」-。冗談交じりに言った後、投手陣に熱く訴えかけた。

「オレも基本は昔のすごい時代に対戦してるけど、逃げて済むような打線と球場じゃないからね。どんどん勝負していかないと。やっぱりオレはメンタルっていうか、逃げないことが一番だと思うけどね。逃げたら『怖い、怖い』ばっかりになっちゃうから。逆にそういうところで抑えて自信をつけるぐらいのね」

宿敵は今オフ、大補強を続けている。阪神も調査していたメジャー今季20発のビヤヌエバを獲得。オリックスから自由契約となった通算194本塁打の中島も入団。FA移籍組では西武から炭谷、そして丸だ。1番から8番まで気を抜けないラインアップとなり、代打にも主力級が控えそうな情勢。それでも、「超積極的」に挑戦すれば道は開けると、言葉に力を込めた。

「どうするかっていう知恵は絞っていかないとダメだろうし。やりがいはあると思うから。打たれても勉強やし。そういう風に行った方が結果、その試合に負けたとしても、次の何試合かの勝利につながる可能性も出てくるから」

巨人には12年以降、7年連続で負け越している。今季も25試合で8勝16敗1分けと分が悪く、17年ぶり最下位の要因の1つにもなった。そんなチームに球界屈指の強打者が加入。これだけの打線を相手に投げられる喜びを感じて、勝負して成長していこう-。指揮官の極めて前向きな闘争心が、虎投のボールに乗り移る。【佐井陽介】