DeNA宮崎敏郎内野手(29)が4日、横浜市の球団事務所で契約交渉を行い、倍増となる年俸1億6000万円で更改した。昨季首位打者を獲得し迎えた今季、2年連続打率3割超えのほか、打撃面では各部門でキャリアハイを更新した。チーム最多となる142試合に先発し、ベストナインとゴールデングラブ賞を初受賞するなど、攻守で貢献したことを評価され、年俸は2年で5倍以上となった。

大台到達の喜びよりも、出られなかったわずか1試合への悔しさが、口を突いた。宮崎は「全試合出場に届かなかったことが悔しい。ケガをせず毎試合、出場することが僕の中では重要だった」。今季142試合で先発ラインアップに名を連ねた。それだけに、背中の張りを訴えた9月12日広島20回戦(マツダ)の欠場を悔やんだ。

打率は昨季から5厘落としたものの2年連続3割に到達し、本塁打、打点、安打数、得点、四球の各部門は、いずれもキャリアハイをマークした。負の勲章だった併殺打も減少。昨季首位打者を獲得してから、この2年で年俸は3000万円から5倍以上となる1億6000万円にまでアップした。「まさかここまでできると思っていなかった。責任感をよりいっそう感じないといけない」。今月で30歳。遅咲きのバットマンが誰よりも自分と向き合った結果だった。

プロ入りからバットの形はほとんど変えていない。「自分でしっくりきたものがあるから」。試しながら長さは85・5センチにたどり着いた。その分、グラム単位で体調に合わせて重さを調整。850グラムから870グラムまで10グラム刻みで3本のバットを用意。「疲れているときは850グラムのバットが870グラムに感じる。だから、重さを体調によって変えるんです」という。

1日は自分との会話から始まる。「打撃スタイルも守備の感覚も毎日違う。その日の対応をその日に応じてやる日々だった」。毎試合全力で臨んでいたからこそ、出られなかった1試合が悔しかった。欠場した唯一の試合は黒星。この1試合に勝っていたら…。そんな思いは2度としたくないから言う。「全試合出場という目標は、変わらず持ち続けたい」。来季はとどかなかった143試合に、全力で臨む。【栗田成芳】(金額は推定)