寡黙な男が熱くV宣言した。阪神上本博紀内野手(32)が現状維持の年俸6000万円で契約を更改した。今季取得した国内FA権の行使も視野に入れて熟考した上で、FA宣言せず1年契約で残留。ほとばしる思いを明かした。

「今年はケガばっかりでしたけど、こういう状態でも応援してくださる人がいる。そういう人たちに活躍して恩返しできるようにという思いを、今年は特に持っています。一番分かりやすいのは数字を残すこと。自分は勝ちたいし、優勝したい。それが全部(恩返しに)つながると思います」

5月5日の中日戦で負傷。「左膝前十字靱帯(じんたい)の再建術」を受けた。地道なリハビリを支えてくれたファンへの思いが体を突き動かす。矢野監督から就任直後に「残ってくれ」と直々に慰留された。「監督になられてすぐ声をかけてくださって、ありがたいと感じました。(自分は)活躍するだけです」。感謝はグラウンドで体現する。

来季は糸原との激しい二塁争いが予想される。「そこもどうなるか分からない。どんな状況でも自分のできることをやるだけです」と力を込めた。すでにノックや打撃練習は再開済み。「大ケガをしたんで、不安が一切ないようにとは思っていない。その中でやるしかない。どうなるか分からないけど、やれるだけやる」。不退転の決意で、勝負の1年に突入する。【佐井陽介】(金額は推定)