野球博物館は5日、来年の野球殿堂入りの候補者を発表し、指導者としての実績も加味するエキスパート表彰で、「ミスタータイガース」と称され、阪神で昨季まで2軍監督を務めた掛布雅之氏(63=阪神オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー)ら3人が加わった。選手としての貢献を表彰するプレーヤー表彰では、「代打の神様」といわれた元阪神桧山進次郎氏(49)ら6人が新たに候補入り。選考は報道関係者や球界関係者による投票で行われ、来年1月15日に発表される。

ミスタータイガースといわれ、強打者だった掛布氏が、殿堂入り候補者に名を連ねた。プレーヤー表彰(94~04年)でノミネートされたことはあったが、初めてエキスパート表彰の候補者に加わった。

実働15年の掛布氏は、現役時代に本塁打王3回(79、82、84年)、打点王1回(82年)のタイトルを獲得した。勝負強いバッティングと、三塁のホットコーナーにつきながら堅い守備力を披露し、ファンを熱狂させた。

特に85年に「4番」で40本塁打を放ち、21年ぶりのリーグ優勝、日本一に貢献した。4月17日対巨人(甲子園)で、3番バース、4番掛布、5番岡田の「バックスクリーン3連発」は語り草。今回くしくも、その3人がエキスパート表彰でそろい踏みとなった。

現役時代の実績は申し分なく、16、17年には、古巣の阪神2軍監督として若手育成にも取り組んだ。わずか2シーズンのファームでの指導に終わったが、背番号31をつけての発信力はさすがだった。現在もアドバイザー的な立場で、若虎の成長を見守っている。【寺尾博和】