社会人野球を統括する日本野球連盟は、米大リーグ・ダイヤモンドバックスとマイナー契約を交わしたパナソニック・吉川峻平投手(23)が、契約時の規定違反で「永久追放処分」を受けたことで、大リーグ球団との接触ルールの徹底を求める通達を加盟全チームに出したことが13日、分かった。

大リーグは12年から「海外アマ選手登録制度」を導入。日本高野連も注意喚起を行うなど、日本のプロ野球を経ずに大リーグに挑戦する“直メジャー”は転換期を迎えている。

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ダイヤモンドバックスとマイナー契約を交わした吉川は、契約時の規定違反で社会人野球から「永久追放処分」という極めて重いペナルティーを受けた。

日本野球連盟の登録規定では、毎年7月に開幕する都市対抗野球大会が終わるまで、国内外のプロ球団とは接触できない。吉川は1月からダ軍スカウトと複数回、接触。しかも登録抹消届を提出する前に、正式契約まで結んでいた。

社会人野球の名門チームで、なぜこのような事態が起こったのか? 根底には、ルールを「正確に」理解していない認識の甘さがある。同連盟は再発防止のため、全チームにルール順守を求める通達を行った。

高校生、大学生は、9月1日のプロ野球志望届提出後からプロ側との接触が認められる。

日本高野連は、11月の都道府県連盟理事長会議で注意喚起した。竹中雅彦事務局長は「都道府県の理事長を通じ、接触ルールに関して加盟校に注意喚起しました。5月に(大リーグ入りの)意思表示をすると、夏の大会に出られなくなってしまう」と説明した。

5月とする背景には、大リーグが12年から導入している「海外アマ選手登録制度」がある。関係者も見落としがちなこのルールが“直メジャー”へのハードルを従来より高くしている。

95年9月1日以降に生まれた日本のアマチュア選手を獲得するためには、毎年5月15日までに事前登録する必要がある。登録された選手は米大リーグ機構(MLB)から6月に公示され、7月2日から各球団との契約が可能になる。

登録には書類の提出が必要で、仮に現役の高校生、大学生、社会人が事前登録された場合は、5月以前に大リーグ側と接触したことが明るみに出る。規定違反となり、高校生なら地方大会や夏の甲子園への出場資格を失う。大リーグが導入した制度と絡み合い“直メジャー”は新たな局面を迎えている。