日本ハム栗山英樹監督(57)が22日、清宮幸太郎内野手(19)とドラフト1位の金足農・吉田輝星投手(17)にドカベン化指令を出した。新潟市内で「NIIGATA野球サミット2018」に参加。野球人口が減少している現状なども取り上げられたイベント後、マンガのような活躍ができる選手の育成の重要性に言及。清宮は人気野球マンガ「ドカベン」の主人公・山田太郎、吉田輝はライバルの不知火守のような選手になるよう期待した。

ドカベンとゆかりがある新潟で、栗山監督は新たな野望を明かした。「やっぱりマンガみたいな選手をつくらないといけない。清宮幸太郎は完全にドカベン(山田太郎)。吉田輝星は不知火という感じ」。作品の中で主人公の山田太郎が通っていた明訓高校のモデルが地元強豪校の新潟明訓。同校関係者も多く参加したイベントで「僕らの世代はやっぱりドカベンなので」と大好きな作品から着想。笑顔で例えたが、求める将来像として本気だ。

メジャーへ送り出したエンゼルス大谷の時と同様に、次代を担う2人のスター候補にハッパを掛けた。13年に入団した大谷にも「マンガみたいな選手をつくりたい」と現実では想像し得ないスケール感を求めた。期待に応えた大谷が、プロでは難しいとされた投打二刀流で躍動する姿にドカベンの原作者・水島新司先生も感動。栗山監督も直接、お礼を言われたことがある。

清宮は山田と同じ右投げ左打ちの長距離砲で、イメージしやすい。チームを勝たせる夢のある放物線を数多く描けば、今以上の魅力にあふれる。吉田輝と不知火は偶然にも「日本ハムに外れ1位で入団」という共通項がある。不知火はマンガの世界で最速162キロを投げた一方、超遅球で打者を幻惑した。吉田輝も見ているだけでワクワクする投手への進化に期待だ。

この日のイベントでは野球人口が減少している現実が議題になった。かつての子どもたちが夢中になったドカベンの世界が現実になれば、現代の子どもたちを野球に振り向かせられるかもしれない。「野球は楽しいもの、面白いものでなければ見てもらえない。殿馬、岩鬼もつくりたい。そういう選手をつくる責任がある」。刺激をたくさん受けた栗山監督が、使命を再確認した。【木下大輔】

◆ドカベン 1972年(昭47)に週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載開始。水島新司作。主人公の「ドカベン」こと山田太郎の中学時代からストーリーが始まり、明訓高校に入学して里中智、岩鬼正美、殿馬一人、微笑三太郎ら個性的な仲間と甲子園優勝を目指す野球漫画。白新高校のエース不知火守は速球と超遅球を使い分ける投手で、明訓のライバルとして立ちはだかった。