今年は何本打つのだろう。ソフトバンク上林誠知外野手(23)の三塁打だ。昨年、両リーグ最多の14本を放った。本塁打と違い、安全進塁権はない。守備側の返球に負けない足が求められる。「あの肩なら十分間に合うよ」。こんなふうに、自慢の足がものをいう?

14本は実に65年ぶりとなる数字だった。1953年にレインズ(阪急)が16本を放ったとき以来。歴代1位は金田正泰(阪神)の18本で、レインズは2位、3位に蔭山和夫(南海)の15本が続く。3人の記録はすべて50年代だった。「50肩が多かった?」とは言わないが、当時は球場やグラウンド状態が悪く、守備レベルも低かったようだ。

それだけに4位とはいえ、上林の14本には価値がある。内訳をみるとオリックス戦で7本と半数を稼いだ。8月17日の対戦では2打席連続もあった。「オリ(折り?)重なる三塁打」の表現がふさわしい。ロッテ3本、日本ハム、楽天が各2本。西武戦では1本も出なかった。

昨年の成績は2割7分、22本塁打、62打点。盗塁は13。打率がちょっと気になるが、トリプルスリーだって不可能ではない。長打力に、足がある。「長足の進歩?」が望めるタイプとみた。【米谷輝昭】