「新人王と盗塁王」を狙うと宣言する注目の阪神ドラフト1位、近本光司外野手(24=大阪ガス)。その独自の盗塁論や矢野監督への質問を聞き出した。

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盗塁論を語る近本の表情は、イキイキとしていた。「走者一塁の場合、どういう配球をするのかを場面ごとに(映像で)見ます。盗塁は走ってみることが大事。思い切ってスタートを切れるかが勝負のカギになるので、まず研究します」。相手を事前に分析する予習が基本中の基本。今まで以上にマークが厳しくなるプロでも、旺盛な研究心で相手を“盗む”意気込みだ。

昨年の都市対抗で首位打者とMVPの橋戸賞を受賞し、大阪ガスの優勝に貢献。阪神は関学大3年春にリーグ最多の10盗塁を決めた50メートル5秒8の快足にも大きな期待を寄せている。近本も以心伝心の意気込みだ。

警戒される中でも成功させる秘策がある。「自分は基本的にリードの幅は変えません。スタートの『フリ』もしません。向こうが余計に意識してくるのは避けたいので」。自然体でスタートを切る。これが成功率アップの秘訣(ひけつ)。「いつも通りに堂々とスタートを切るタイミングでGOという感じですね。できるだけシンプルに、いらない動きのないように。『走るぞ』という雰囲気を常に持っていたい」。あえて手の内を明かすのも自信の表れか。すでに駆け引きは始まっている。

矢野監督にも質問がある。自分が一塁走者の時“矢野捕手”ならどう考えるかというものだ。「初球の入り方ですね。そこが一番難しいと思うので。決め球を先に決めてから配球を組み立てると思う。初球はまっさらな状態で入るので、その時のセオリーはどんなものか聞いてみたいです」。

質問は山ほどある。「変化球の時は二塁に投げにくいのか。あそこまでの捕手であれば、変化球で走られても(刺すのは)苦じゃないのかなと」。ハイレベルな捕手心理にも興味津々だ。「内角のボールは投げにくいと思う。配球を読んで走るというよりは、球種ではなくてコースで走る方がいいのか聞いてみたい」。

目標とする赤星憲広は1年目の01年に39盗塁を記録。新人王と盗塁王を獲得した。近本も「新人王&盗塁王」を目指す。2月のキャンプ1軍発進が決定的。沖縄・宜野座では、矢野監督と熱い盗塁談議に花を咲かせることになりそうだ。