エッ“早退”していいの!? 阪神は8日、兵庫県西宮市内のホテルで合同スタッフ会議を行い、矢野燿大監督(50)が2月1日から始まる沖縄・宜野座キャンプで「自主性重視」の方針を打ち出した。全体練習は通常通りに行うが、その前後に行う特打、特守などで選手個々のリクエストに応じたメニューも採り入れる考えだ。やるべきことをキッチリやればサッと帰ってもOK。ナインのプロ意識を尊重する。

骨太のチーム再建を進める阪神が新たなステージに入る。球団首脳やコーチ陣に編成部門の球団職員が一堂に会し、合同スタッフ会議が行われた。懇親会の開始予定の午後6時を過ぎても、まだ終わらない。2時間超の改革ミーティングだった。

キャンプが目前に迫る中、矢野監督が基本方針を説明した。「俺のなかで自主性というのは欲しいと思っている。選手自身のね。例えば、高山とか。自分のやりたいこと、やることは自分の中にあると思う」。強制せず、自発性をうながし、練習メニューにも反映させたい考えだ。

ナインからの積極的なリクエストは大歓迎だ。指揮官は「自分ではっきりさせて何をしたいか、どうやったら試合に出られるか、どうすれば試合に出てレギュラーに近づいていけるか」と話す。誰よりも課題を痛感するのは選手だろう。金本体制の3年間は猛練習で土台を築き上げた。17年に20発放った中谷。昨季、大器の片りんを見せた大山も今季は3年目を迎える。プロの雰囲気に慣れ、周りも自分も見えてくる段階だ。

もちろん、チームプレーを磨く全体練習はおろそかにしない。早出や午後の特打、特守などが選手の思いをくんだメニューになりそうだ。「早出でも『いま、何をやりたいん?』って。『バッティングやりたいんです』って。それを俺らが『特守』となった場合に…。何か気持ちの乗りが悪い。俺は『じゃあ一緒にやろうぜ』とお互いがね」。コーチはアシスト役に徹する。

指揮官は“早退”すら容認する姿勢を示す。「自信あったら、早く帰ってもいいしさ」。本心はこうだ。「朝、しっかりやって全体メニューもやって、今日は俺、やり切ったと思ったら帰っていいと思う。そういう自覚がプロ」。いや、そうは言っても先輩がまだやってるし…。そんな気兼ねを「日本人的」と言う。さあ、最下位からの逆襲へ。新生阪神が育むのは強烈なプロ意識だ。【酒井俊作】