日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(金足農)が12日、18歳の誕生日を迎えた。同日生まれの漫画家、井上雄彦氏(52)の名作「スラムダンク」を偶然にも昨年12月に読破していた近未来のエース右腕は、いつも強気な主人公の桜木花道に共感。

18歳のテーマを心の中で強い気持ちをたぎらせる「大人の桜木花道」に設定した。

偶然の一致が、歩みたい18歳の道を確かなものにした。吉田輝は報道陣からバスケットボール漫画「スラムダンク」の作者、井上氏と誕生日が一緒だと聞いて思わず笑みがこぼれた。「プロの世界に入ったら僕も初心者みたいなもの。心の中では、ああいう強い気持ちを持ってやって良いのかなと思います」。同作品では主人公の桜木花道が大好き。強気な性格のバスケ初心者が成長していくストーリーを自分に重ねた。

昨年12月に金足農でチームメートの同級生、菅原天空(たく)内野手から勧められ、自分が生まれる11年前の90年から連載が始まった作品に触れた。「最近読んだマンガでインパクトがすごく強かった」と夢中になった。最初はアニメをチェックし、最後は単行本で内容を読み進めて約2週間で完全読破した。「試合中の強気度合いが自分とすごく似ている。共感できる」と桜木花道に心酔した。

選挙権も与えられる18歳となり、目指すは「大人の桜木花道」だ。「強気ですが、態度には出しちゃいけない」とマウンド上での過剰なパフォーマンスや喜怒哀楽は封印する。漫画の中で桜木花道が監督の安西先生のふくよかなあごをタプタプするようなやんちゃさも御法度。あくまで心は熱く、頭は冷静に。負けん気だけは人一倍持って、この1年を突き進むつもりだ。

この日は2軍施設の千葉・鎌ケ谷に800人のファンが集まった。3連休初日で9日の新人合同自主トレ初日を100人も上回った。ファンから誕生日プレゼントも数多く受け取り、「プーさんもあったので、うれしかったです」。金足農の仲間からもお祝いメッセージをもらった。「早く活躍しろとか、応援しているとか。うれしかったですね」。漫画のように、プロでもサクセスストーリーを紡いでいく。【木下大輔】

◆スラムダンク(SLAM DUNK)週刊少年ジャンプに1990年(平2)~96年に連載されたバスケットボール漫画。作者は井上雄彦。主人公の桜木花道が高校で競技に出合い、赤木兄妹や流川、三井といった仲間とともに安西監督の下、才能を開花させていく物語。その人気ぶりからアニメ化され、単行本の累計発行部数は1億部を突破、さまざまな漫画賞も受賞した。「あきらめたらそこで試合終了ですよ」「バスケがしたいです」など名言も多数。