阪神藤浪晋太郎投手(24)が、19年初ピッチングを「原点回帰フォーム」で行った。12日、鳴尾浜球場で今年初めてブルペン入り。昨シーズンまでのセットポジションではなく、大半をワインドアップから投じた。プロでは“封印”してきたフォーム。甲子園春夏連覇時やルーキーイヤーのような力感ある姿を見せた。

力強い直球が、次々にミットへ吸い込まれた。42球のうち、最後の10球は捕手を座らせてのもの。「その方がリズム良く投げられる」と大半がワインドアップからの投球。球を受けた鈴衛ブルペン捕手は「力感もある。リリースポイントが安定して、球の回転も良かった」と振り返った。

大阪桐蔭時代は、ワインドアップの躍動感あるフォームで甲子園春夏連覇の原動力となった。ルーキーイヤーの13年当初も振りかぶっていたが、左肩が早く開く癖を修正するため、同年8月にセットポジションに変更。その後はノーワインドアップだった時期もあり、近年はセットポジションが主流だった。この日はワインドアップから繰り出す力強い球に「いい感じで投げられてますね」と手応えを口にした。

復活を信じる1人、矢野監督は2軍監督時代に、藤浪へ助言を送った。「もっと野球楽しんだらどうや。高校野球の時の甲子園で投げてるお前の姿、ああいう顔が見たい」。16年から3年連続で2桁勝利に届かず苦しんだ。新たな指揮官の期待を背負い、今年こそ大きな戦力になる。「原点回帰」には、そんな思いもにじんで映る。

今オフは競馬の武豊騎手が総合プロデュースするジムに通い、体の可動域や柔軟性に特化したトレーニングを積んできた。狭くなっていた肩や股関節の可動域が、本来の動きに戻りつつあることを実感。「動かしやすいというか、いいバランスにつながっている。投げ始めなので感覚の話になりますが、リリースポイントも安定していきそうかなと思います」。力強さと制球力を兼ね備えた、理想の形を作り上げる。【磯綾乃】