楽天今江やロッテ中村、巨人田中俊…。集まった多彩な顔ぶれは、おそろいのキャップやシャツに身を包む。「2019 TEAM OHMATSU」。昨季限りでヤクルトを戦力外となった大松尚逸内野手(36)。恒例の沖縄自主トレで汗を流す姿は変わりない。ただ、例年とは趣が異なる。「みんなはシーズンのため。僕はいつ“そう”なってもいいように」と話す。

バットを置くつもりはない。ロッテを戦力外となった16年オフ、当初は他球団でのプレーを考えられなかったという。「もう1回、打席に立ちたい」。純粋な思いからヤクルトにテスト入団すると、世界が広がった。「ヤクルトに拾ってもらって、人との出会いとか、野球人として経験を積むことができた。自分の中で気持ちさえあれば、いいも悪いも経験できるんじゃないか」。情熱は消えていなかった。

目を向けたのは海外。関係者を通じて米独立リーグやメキシコリーグに試合の映像や直近の練習の様子を撮った動画などを送り、オファーを待っている。「苦しい練習をしていると『何してるんだろう』とか思うこともある。でもやっぱり『まだ見たことのない景色を見てみたい』って思いが勝つ。それで気持ちを入れ直して…その繰り返しだよ」。厳しい現実は覚悟の上でつぶやいた。「納得して終わりたい」。自分の気持ちに、ウソはつけない。【亀山泰宏】