昨季最下位からの逆襲を期す阪神は群雄割拠のキャンプを迎える。矢野燿大監督(50)が「ショートもセカンドも、センターも先発投手も…。すべてのポジションで争いになってくる。その競争が僕はすごく楽しみ」と話すように多くのポジションでレギュラーがいない。まだ成長途上。それだけ、競争が激化するということだ。

今後の阪神を占う上で、とりわけ注目したいのは2点ある。何と言っても大山だ。プロ3年目の今季、真の主力として独り立ちできるか。未完の大砲が覚醒するかしないかは、タイガースの将来を大きく左右すると思う。昨季は大器の片りんを見せた。9月に月間打率4割1分5厘の9本塁打。昨春キャンプは序盤こそ好調も、中盤以降に停滞した。花開けば、生え抜き4番も現実味を帯びる。

もう1つは、プロ16年目鳥谷の「意地」だ。昨秋、指揮官自ら面談し、かつての定位置だった遊撃に再挑戦する覚悟をくみ取った。矢野監督も「あれだけの数字を残している自分を捨てて、新たな自分にチャレンジしにいっている」と胸中に触れた。昨季は打率2割3分2厘、1本塁打。球団史上最多2066安打の実力者が、なりふり構わず、強敵の北條らと向き合う。今年は38歳。ベテランにとって重要な1カ月になる。

ファンの球趣をくすぐるロマンは他にもある。開幕投手争いのほか、中谷や高山、新人近本らの中堅バトル、新外国人マルテの実力、藤川VSドリスの守護神争い…。沖縄から、挑む男の姿を伝えていく。【阪神担当キャップ=酒井俊作】