よく走れ! よく眠れ! ソフトバンクが31日、春季キャンプ地の宮崎に入った。工藤公康監督(55)は宮崎市内の宿舎で行われた全体ミーティングで「走塁改革」に取り組む方針をナインに伝えた。体調管理の面では、オフに米国で学んだ睡眠の最新知識をチームに伝授する考えだ。2年ぶりのリーグ優勝&3年連続日本一「奪Sh!(ダッシュ)」への挑戦が、いよいよ始まる。

   ◇   ◇   ◇

就任5年目は「動」と「静」の両面でこだわる。全体ミーティングで、工藤監督は「走」を徹底的に求めることを選手に伝えた。キャンプ第1、第2クールはランニング量を増やす。「野手も投手が走るくらいの量になった。今、回復する能力をつけておけばシーズン中にもつながる」と、故障防止が狙いだ。「投げる体力をつけるのも大事」と、投手陣には昨年以上の投げ込みもさせる。

走塁面の向上に取り組む。昨年は両リーグトップの202発を放ったが、盗塁は西武の132個に遠く及ばないリーグ5位の80個。村松外野守備走塁コーチは「全員走る意識で。デスパイネだってケガがなければ走らせる。キャンプでは三盗の練習もする」と意気込んだ。柳田、上林、今宮ら脚力のある選手だけでなく外国人も含め、相手の隙を突く攻撃を仕掛ける。

「厳しいキャンプ」だからこそ体調管理にもしっかり目を配る。このオフは米国へ行き、スタンフォード大の先生から「睡眠」を学んだ。「睡眠負債があると取り戻すのに、30日から40日かかる。これは打者の好不調の波と似ている。バイオリズムが崩れる」と説明。夜遊びして睡眠不足になる選手だけでなく、ナイター翌日のデーゲーム、本拠地が福岡のソフトバンクは試合当日に長距離移動することも多い。「睡眠負債」をつくらないように、選手から聞かれればアドバイスもする。「練習後の1時間以内の仮眠もいいというからね」と、練習後に宿舎へ移動するバスの中で寝ることも勧めた。

米国では脳年齢を研究している場所も訪れた。「脳年齢を測ったら30歳って言われた。若ければいいってものじゃないけどね」と55歳の指揮官は笑った。30歳だった93年は、西武で15勝3敗、初のシーズンMVPを獲得した年。衰え知らずの柔らかい脳こそが、就任4年で3度日本一を獲得した要因なのかもしれない。その脳にV奪回をくっきり描いた。【石橋隆雄】

◆ソフトバンク工藤監督過去のキャンプ前日全体ミーティング

【15年】「継続力」をテーマに、方針として掲げた「ガム」「ツバ吐き」「消極的な言葉の使用」の禁止を選手に通達。髪形やヒゲにも注意を払うように要望した。

【16年】「一途」をキーワードにした。「野球に集中するのも一途だし、家族のためにという一途な思いもある。ファンの人に喜んでもらおう、勝とう、3連覇を成し遂げようという一途な思いもある」。

【17年】A組41人に初顔13人を抜てき。「誰にでもチャンスはある。今日できることは明日に延ばさずに」と伝えた。その後は達川ヘッドコーチが約10分の独演会。

【18年】異例のレギュラーを発表した。内川、松田宣、今宮、中村晃、柳田、デスパイネの6人。先発も「5人決まっている」と名前は出さなかったが、東浜、千賀、和田、バンデンハーク、武田を指していた。