【スコッツデール(米アリゾナ州)30日(日本時間31日)=木下大輔、田中彩友美】日本ハム王柏融外野手(25=台湾ラミゴ)が、ベールを脱いだ。現地での自主トレで初めて屋外フリー打撃を実施。61スイングで、安打性の打球は3本の柵越えを含む33本を数えた。台湾時代から愛用する880グラム、33・5インチ、ミドルバランスのバットと1キロのマスコットバットを駆使する「台湾の大王」が、貫禄の打撃技術を披露した。

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大王が、このオフ初めて屋外でのフリー打撃に臨んだ。王柏融が最初に手に取ったのは、赤が基調のマスコットバット。「打ってない期間が空いていたので、タイミング、ポイントだけを合わせていました」。大田との回し打ちで、まずは5スイング。鋭さはないが、確実にミートをしていた。間近で見ていた近藤は「全然振れていない」と思っていたが、そのバットを手にして驚いた。「あのバットならしょうがない」。重さは1キロだった。

王柏融 台湾の時からそういう感じでやっています。場所が変わっても、変わった練習はしません。

広島長野がかつて、飛距離アップのため、1・5キロの超重量マスコットバットで練習していたことがある。ただ、現在の球界でも1キロを超えるバットを操る選手はごく少数。手首などへの負担も大きく、リストが強くなければ振れないからだ。王柏融は台湾時代の4年間で打率3割8分6厘、86本塁打、319打点を記録。扱いづらいバットで確実にミートする能力、重量のあるバットを振ることで打撃に必要なパワーを身につけてきたと言える。

試合用のバットでも快音は続いた。「5、6割」という力ながら、鋭さを増したスイングで広角に質のいい打球を連発。こちらのバットは880グラム、33・5インチ。ソフトバンク柳田ら好打者と同じ重さ、長さで芯の位置は中央よりのミドルバランス。日本球界でも好打者が好んで使うタイプだ。

この日は計61スイングで安打性の打球は33本。打率に換算すれば5割4分1厘だった。「まあまあです」と謙虚に振り返ったが、“台湾史上最強打者”の触れ込み通りのデモンストレーション。栗山監督も「打つだろうなという感じ」と変に力みもなく自分のスタイルを通している姿にひと安心。ベールを脱いだ大王が、さらに周囲の期待を高めた。