剛速球のミット音に遅れて、球審のストライクコールが鳴り響いた。

西武ドラフト1位松本航投手(22=日体大)が、2日連続でブルペン投球。1人投げ込む姿に首脳陣も、球団関係者も、報道陣も、固唾(かたず)をのんで見守った。森が受ける、球の威力に目を奪われる。「ラストです」と告げた最後の31球目。低めいっぱいに決まると、球審も勢いそのままにアウトコールするほどだった。

ドラ1の本気ブルペンは圧巻だった。キャンプ2日目にして、初めて捕手を座らせた。「キャッチャーも森さんで、審判の方もいて緊張したけどよかったと思います。指のかかりは納得」。フォームを確認しながら、ど真ん中めがけて全球直球。「まだ6、7割くらい。期待を込めて」と余力を残して言い切る。

森が言う。「あれはいいでしょ。真っすぐがすごかった。手が痛いっす。(スピード)ガンより速く感じるタイプ。重さもあるしスピン量もある。体感がバグっているんで180キロくらいに感じる」とジョークもまじえ絶賛。見守った辻監督は「ドラ1という感じ。楽しみだね。あれだけ投げられれば十分」。先発ローテ候補に数えた。

2日連続のブルペン入りを予定していたものの、前日にチームへ伝え忘れていた。「ホワイトボードに書かないといけないのに忘れていて…。怒られました」。この日は、ブルペン直後にしっかりと書き、3日連続で入る予定。初々しさを残しつつ、プロの階段を上っていく。【栗田成芳】