出世イベントからパワーをもらった。日本ハムのドラフト1位、吉田輝星投手(18=金足農)が沖縄・国頭でのキャンプ初休日となった4日、沖縄の伝統楽器三線(さんしん)を体験した。新人時代のダルビッシュ、大谷も経験した縁起のいい講座。5日の2度目のブルペン入りへ、気持ちを高めた。

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吉田輝が苦戦を強いられた。初めて体験した三線に「厳しかったです。楽器はシンバルとか、たたく系しかやったことがない…」と苦笑い。自身の持ち味は「三振」で打者を仕留めるスタイルだが、こちらの「三線」にはお手上げ気味。それでも終盤には、柿木らほかの新人選手4人とともに、BEGINの名曲「島人ぬ宝」を歌いながら演奏するなど、貴重なオフでリフレッシュした。

憧れを抱く先輩たちと、またひとつ同じ道を歩いた。ダルビッシュや大谷も1年目の春季キャンプで三線を体験。鎌ケ谷の寮の部屋は、2人が使った404号室を引き継いでおり“共通項”がまた1つ増えた。「部屋が一緒で勢いついて、三線も一緒。また勢いづけられればと思います」。日本で確固たる結果を残して海を渡った先輩たちに重ね合わせるように、プロで活躍する姿を思い描いた。

三線を通して、三振へのこだわりも明かした。「三振が一番気持ちいい。追い込んだら、三振をとれれば一番いいなという考えは(高校時代から)変わらない」。昨夏の甲子園では6試合で計62奪三振をマーク。右腕の調子の良さを示す1つのバロメーターだ。「左打者がよける内角への球とか、右打者の外だったら手が出ないとか、見逃しの方が気持ちいいですね」。

5日のキャンプ2度目のブルペンでは、ワインドアップを“解禁”する。高校2年の秋以降、フォームのバランスを重視して封印してきた。1月の新人合同自主トレや2日の投球練習でも、セットポジションで投げ続けてきた。「勢いがついたワインドアップからヒントを見つけられれば、変わってくるのかな、と。視点を変えてやってみようと思う」と狙いを説明した。「リフレッシュできたんで、明日からどんどん調子を上げていきたいなと思います」。怪物右腕がギアを上げていく。【山崎純一】

◆過去の日本ハムの新人たちも「三線」には苦戦していた。小学校時代、マーチングクラブに所属し「トランペットが吹けた」という大谷も、沖縄の伝統楽器には「どうやってやるのか分からない…」。グレーのジャケットに白いワイシャツ、デニムという爽やかな私服姿で三線を手にした斎藤も、音を鳴らすのが精いっぱいで「1曲弾けるようになりたい」と話していた。