侍精神を惜しみなく伝授した。巨人原辰徳監督(60)が宮崎キャンプ第1クール最終日の5日、侍ジャパンの稲葉監督に金言を授けた。09年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の優勝監督は視察に訪れた稲葉監督を原タワーに招き入れた。1時間以上の現場会談を終え「稲葉監督が自分の意思の中でチーム作りをする。その中で私自身がジャイアンツの監督として全面的に協力をする」と約束した。

経験者がゆえに苦悩も透けて見える。世界一への道は、メンバー選考が重要要素と伝えた。「『強いチームを作る』『いい選手を選ぶ』という部分でいうと、選択肢が全然、変わってくる。やっぱり、前者で行くべきだと思う」と勝利至上主義でのメンバー構成を提案した。

第2回大会では稲葉監督を最年長でメンバーに入れ、イチローも加えた。当時西武で中軸だった中島を2番、先発完投型の杉内は中継ぎで起用。準決勝からはダルビッシュをクローザーに据えた。超短期決戦の中で多岐にわたる戦術を実行するための用兵で挑み、世界の頂を奪った。

午前にソフトバンク、午後は巨人のキャンプ地を視察した稲葉監督も「世界一」の重い言葉に最敬礼で感謝した。第1回大会を指揮したソフトバンク王球団会長からも激励を受け「気持ちは十分、分かっていただいている。本当に頑張れと、王会長からも言っていただいた」。原監督にも「非常に心強い言葉をいただいた。私は恵まれた環境の中で監督をやらせてもらえているなと」と思いを受け継いだ。【為田聡史】