「初心」でゴールデングラブ賞を「奪Sh!」。昨年、6年ぶりにゴールデングラブ賞を逃したソフトバンク今宮健太内野手(27)が、春季キャンプで「守備の栄誉」奪回に燃えている。ライバルの西武源田からもヒントを得て、初心に帰ることを意識。守備の確実性アップをテーマに、地道な取り組みを続けている。

13年から5年間守り続けたゴールデングラブ賞を今宮から奪ったのが、西武源田だった。

今宮 源田はプロに入ってきた時からプレーに安定感もあって、取られるとは思っていた。だって源田、うまいでしょ。

ライバルの技術を素直に認め、向上のヒントにする。それも今宮の強さ。このオフは源田モデルのグラブにも左手を差し込んだ。

今宮 うまいと思った人の物はメーカーさんに頼んだりして、使わせてもらうことがあります。このグラブは捕りやすい、握り替えがしやすいとか。試合では使わなくても、何かのヒントになることもある。

このキャンプでは、地味に見える練習に淡々と取り組む。ある日の特守では本多内野守備走塁コーチが手で転がす緩い球に対し、グラブの面をしっかり向けることを意識しながら丁寧に捕球動作を繰り返した。

今宮 初心に帰ろうと思ってやっています。一番のテーマはプレーの確実性を上げること。派手なプレーも消したくないけど、それは狙ってやっているわけではない。どんな形でもアウトになればいいと思っている。

源田の堅実さもヒントに、1つのアウトをいかに確実に取るかを求める。

「グラブにはこだわらなきゃダメでしょ」と、相棒への思いを明かす。昨年12月頃から5~10個ほどのグラブを試し、今季の試合用を1カ月以上かけて絞り込んだ。モデルはほとんど同じ物だが、見た目ではわからない違いがあるという。

今宮 フィット感を一番大事にしています。素材によっても違います。同じ革を使っていても、手を入れた時の感覚が違ってくる。

見た目には数ミリ単位しかない、違い。グラブをどれだけ体の一部にできるか。プレーの技術だけではなく、繊細な感覚を妥協することなく追い求める。

本多コーチ 基本が一番大事だというのは当然、そう。源田君もあれほどいい守備を見せてくれて、今宮も感じたことがあると思う。正直(スタイルは)変えなくていい。ゴールデングラブを取れる技術はある。

好守で知られた新コーチが、初心に帰る取り組みを後押し。今季から背番号「6」を背負う名手のレベルアップが、リーグV奪回と3年連続日本一へ大きな力になる。【山本大地】