広島長野久義外野手(34)がキャンプ休日の8日、同じ宮崎・日南でキャンプを行うJ2横浜FCをプライベートで電撃訪問し、憧れの元日本代表FWカズ(三浦知良、51)からキング・パワーを注入された。サッカー界のレジェンドと初めて正式にあいさつをかわし、大感激。リフティングでボールを蹴り合うなど、夢の時間を味わった。フレッシュな気持ちで9日からの第3クールに向かう。

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長野の瞳は少年のように輝いていた。憧れ続けたカズが満面に笑みで手を差し伸べ、近づいてくる。両手でがっちり握手し、少し言葉をかわした。夢の時間は終わらない。何と、リフティングでボールを蹴り合おうと誘ってくれた。本気だった。恐縮しながらボールを取りに行った。2メートル50センチほど離れて向かい合い、恐る恐る右足で蹴った。ダイレクトで蹴り返してくれた。至福の時間はしばらく続いた。

「ここ数十年で一番緊張しました。ものすごいオーラがあった。待っていてよかったです」

電撃訪問だった。キャンプ休日。広島と同じ日南、それも2軍と同じ敷地で横浜FCがキャンプを行っていることを知った。いてもたってもいられず、アポなしで向かった。午前10時22分に到着。すでにアップが始まっており、しばらくして15分×2のミニゲームが始まった。白い「4」のビブスを着て前線でボールを待つカズの存在感は際立っており、動きを止めていてもどこにいるかすぐに分かる。寒風吹きすさぶ気温12度のフィールドの外、長野はいすに腰掛けることも忘れて見入った。

少年時代からサッカーが好きだった長野にとって、カズは特別な存在だ。静岡学園を中退して単身ブラジルに渡り、世界各国のクラブを股にかけて活躍した経歴は驚異のひと言。日本代表のエースFWだったときもあれば、98年W杯フランス大会の直前に代表落ちする悲劇もあった。常に前を向き、26日に52歳になる今季もレジェンドとして輝いている。長野にとって練習場を後にするまでの94分間は、まさに夢の時間だった。

長野は新天地広島のキャンプで上々の滑り出しを見せ、チームにも溶け込んだ。緒方監督からは「しっかりと1段階ずつ上げていけるようにやってくれればいい。何の不安もない」と調整具合に太鼓判を押されている。最高の休日を満喫し、フレッシュな気持ちで9日からの第3クールに向かう。