レギュラー定着3年目を迎えるソフトバンク上林誠知外野手(23)の「今」に直撃取材した。

豪快なフルスイング代名詞の柳田に対し、軽快なスイングで同じ飛距離を目指している。「柳田さんを超えないといけない」。球界屈指の強打者に対抗心を燃やし、今キャンプでは長打や走塁の向上に取り組んでいる。

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上林はハッキリと口にした。「柳田さんを超えていかないと」。宮崎・日向での自主トレ時にも「柳田、(西武)秋山時代を終わらせたい」と話していた。昨季の数字では圧倒的な開きがある。超えるために上林がこだわるのは「柳田さんとは違った形で飛ばしたい」ということだ。

「しっかり振って打てる柳田さんはすごい。(自分は)マン振りしなくても飛ぶ。打撃はタイミングが大事」と話す。体の中心を使い、バットにボールを乗せるように打つ上林のスイングには、フルスイングの柳田ほどの豪快さはない。だが、フリー打撃やロングティーでも飛距離はほぼ変わらない。今季は腹回りと両脇から背面への筋肉を強化してキャンプインした。体もひとまわり大きくなった印象だ。

今キャンプは柳田と2人並んでフリー打撃を行う。「注目はギータさんなんで。僕は淡々と。しっかり体幹で打てている」。柳田の打球への歓声にもブレず、課題にしている逆方向へも大きな打球を飛ばす。右翼に引っ張っても柳田に負けない打球を飛ばすことも多い。

12日のシート打撃ではドラフト1位甲斐野央投手(22=東洋大)が150キロ超の直球を続けてきたが、4本ファウルを打ち対応。最後は左翼への二塁打を放った。工藤監督も「今の上林は調子がいいからね」と、仕上がりの良さを評価している。立花打撃コーチは「昨年より手の使い方が良くなっている。力がどんどん上がっていっている」と成長を感じている。

小さい頃から憧れるイチローと数年前に自主トレを行った時に見たフリー打撃での本塁打連発は今でも目に焼き付いている。「パワーがすべてじゃない」。タイミングで飛ばすイチローこそが手本となっている。

第3クールが終わった時点で「トリプルスリーはどうでもいい」と話した。昨年末から掲げた目標よりも、柳田という高い壁に近づき超えるために打撃技術、飛距離を追い求めている。【石橋隆雄】