阪神ドラフト1位の近本光司外野手(24=大阪ガス)が14日、プロ入り後初の対外試合で鮮烈なデビューを飾った。楽天との練習試合で「9番中堅」で先発し第1打席で中前打を放つと、第3打席では俊足を生かした適時三塁打。ドラ1ルーキーが、矢野阪神の「初陣星」を呼び込んだ。

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あいさつ代わりの強烈な打球を近本が“デビュー戦”で刻んだ。3回に先頭打者で140キロの直球をセンター返し。さらに7回。1死二塁で捉えた打球は、左中間へ。リードを3点に広げる適時三塁打だ。

近本 センターが右中間寄りにいて左中間が空いていた。あわよくば4つ(本塁)までかえるベースランニングが出来たので、自分としては良かったです。

強烈な存在感は他球団の007部隊の脳裏にも刻まれた。巨人田中スコアラーは「初めて対戦するピッチャーを捉えられるということは実戦向き。(足は)彼の持ち味ですし、低い打球を広角に打つということで、足も警戒しておかないといけない」。放った2本はともにライナー性の打球。さらに、7回の一打ではスライディングをすることなく、悠々と三塁到達。そのタイムは12秒を切れば俊足と言われるが、この日は11秒台中盤。ヤクルト山口スコアラーは「足が速いんでビックリ。ワンファンブルで(本塁に)かえってくるくらい。そっちの方が気になった。戦力ですね。やっぱり」と驚きの表情だ。

しかも二ゴロに終わった5回の第2打席も、直球系を狙い打ったように見え、強い打球だった。DeNA東野スコアラーは「実戦のほうが映えますよね。2打席目は引っ張って、しっかり打てる能力がある。見る目が変わった」と、アウトの内容にも目を見張った。

近本にとって兵庫・社高校の後輩にあたる、楽天ドラフト1位・辰己涼介外野手(22=立命大)も「6番右翼」で先発していた。4打数無安打に終わった辰己も「僕はずっと打撃は近本さんが格上だと言っています。ミスショットが少ない。そこはまねしたいというか尊敬するところです」と、先輩のすごみをあらためて感じた。阪神は18年ドラフト最上位で大阪桐蔭・藤原(ロッテ1位)と辰己を抽選で外し、“外れ外れ1位”で近本を指名。そんないきさつがあった後輩との“初対決”にも完勝だ。

しかし、上々のデビューにも反省は尽きない。「1打席目は大切にしているのでヒットが出たのは良かったですけど、初球を捉えられなかった。1球目を大事にしてやっていきたい」。本領発揮は、これからだ。【磯綾乃】

▽阪神矢野監督 近本らしい足とバッティングを見せてくれました。(3回にアウトになったが盗塁を試みたのは)ナイストライだったんじゃないですか。