昨夏甲子園決勝の再現は、ほろ苦いものとなった。日本ハムのドラフト1位吉田輝星投手(18=金足農)が16日、沖縄・国頭で行われた1、2軍合同の紅白戦で、実戦デビューを果たした。白組の先発として大田に1発を浴びるなど、1回を1安打1失点。それでも145キロの直球で鶴岡から空振り三振を奪い、課題と収穫を口にした。紅組で先発したドラフト5位柿木蓮投手(18=大阪桐蔭)は王柏融外野手(25=台湾・ラミゴ)を一ゴロに抑え、1回を3者凡退。こちらは上々の第1歩を踏み出した。

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いきなりプロの洗礼を浴びた。先頭の西川を二ゴロに抑えた直後、吉田輝は大田に投じた3球目をバックスクリーンへ運ばれた。144キロ高めに浮いた直球を、プロは見逃してはくれなかった。「打たれた球は少し甘かったかなと思います。そこをもっと厳しくつけるように気持ちでいかないと」。ボールの行方を見つめながら、少し驚いたような表情を見せた。

続く打者は3番清宮。注目の対戦を前に帽子を脱いで汗をぬぐい、スイッチを入れ直した。「やっぱり甘いところに投げたくない。油断してしまえば逃げるような投球になってしまいそうだったので、そこを気をつけた」。力を込めた初球の真っすぐで二ゴロに打ち取って見せた。

制球面に課題を感じた。続く横尾と渡辺に連続四球を許し、2死二、三塁のピンチを招いた。「打者の先輩は高めは全然振らない。低めにいつでも投げられるようにしていかないと」。この日の29球で低めのストライクはわずか3球。大半が高めに浮いたとはいえ、自慢の直球で空振りを奪えず、ファウルで粘られ、苦戦を強いられた。高校時代とは違うプロの打者の反応に苦戦した。それでも「厳しいところには攻められた」と6人目の打者鶴岡を外角低め、145キロの直球で空振り三振。「あの球は指にかかって低めにいったので良かったなと思います。キャンプで一番良い球だったと思います」と、手応えをつかんだ。

昨夏の甲子園決勝の再現となる“夢の対決”では、1安打1失点という吉田輝に対し、柿木は3者凡退。決勝に続き、この日の内容も譲ったが、ライバルとの対決を終え「2人とも先発で楽しみにしていたので、想像通り楽しかったです」と思い出のデビュー戦を振り返った。堂々の投げっぷりでまた1つ階段を上がった。「50点よりは上かなと思う。思ったよりも通用したので、もっと調子を上げていって、コントロール、特に直球はしっかりやっていければと思う」。光り輝く未来を、背番号18はしっかりと見据えた。【山崎純一】

日本ハム栗山監督(吉田輝と柿木の投球を見て)「マウンドで動物的になってほしい。それを2人ともに感じた。18歳とかは関係ない。良いスタートを切ったなと安心している」