開幕スタメンあるぞ!ヤクルトから新加入の日本ハム谷内亮太内野手(28)が20日、楽天との練習試合(金武)に「9番遊撃」で先発出場。状況に応じた打撃で2打数2安打2打点、守備でも堅実なプレーを披露してアピールに成功した。最有力候補だった渡辺が負傷離脱し、レギュラー不在の二塁も守れるユーティリティープレーヤーを、栗山英樹監督(57)も高評価。新天地で勝負をかける新戦力が、一気に存在感を増してきた。

  ◇    ◇    ◇

谷内が攻守で持ち味を存分に発揮した。「結果が出たことは素直にうれしいです」。定評のある守備はもちろん、打撃では4度の打席全てで、内容があった。

2回無死一、二塁では初球で送りバントを決め、西川の3ラン本塁打を誘発。3回2死満塁の好機は、ファーストストライクを捉えて2点中前適時打を放った。技が光ったのは5回1死一塁の第3打席。走者の進塁を意識し、広く空いていた一、二塁間を狙うように右前に転がした。

谷内 1発が打てたり、盗塁ができるわけではないので、今日みたいにバントでしっかりつないだり、チャンスでしっかり走者をかえしたり、そういう小さな積み重ねで、少しずつアピールしていければいいかなと思っています。

等身大の猛アピールは、首脳陣もしっかり受け止めた。ボール球に手を出さずに四球で出塁した4打席目も含め、栗山監督は「あれが谷内のプレースタイル。守備力もあって、打撃でもチームに貢献できる、つなぎの形ができる」。金子打撃チーフ兼作戦コーチも「谷内は自分の良さを出すことで打線を引き立てる、いい“調味料”となっている。同じタイプの若い選手は谷内の姿を見て、やってほしい」と称賛した。

有力候補だった渡辺が負傷で離脱し、確固たるレギュラーがいない二塁のポジション。栗山監督は「(谷内は)もちろんレギュラーで、スタメンでも十分考えられる。思っていた通り」と、うなずいた。この日は名護で残留練習に参加した同学年の中島とともに、開幕から二遊間を組む可能性も十分ある。明るい性格でチームにもなじんでいる谷内は「プレーの面でも慣れていければ。トレードで来てチャンスをもらっている。どのポジションでも行ける準備をしたい」。日本ハムの期待の新戦力は、金子や王柏融だけではない。仕事人の背番号32に要注目だ。【木下大輔】

 

<谷内アラカルト>

★略歴 1991年(平3)2月3日、石川県生まれ。金沢西高3年春に県大会優勝。国学院大では4年春にリーグ2部でMVP、4年秋に遊撃手としてベストナインを獲得。12年ドラフト6位でヤクルト入団。177センチ、79キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1050万円。

★リーダー気質 5人兄弟の長男は、中高大で主将を務めてきた人格者。人望の厚さはプロ入り後も変わらない。ヤクルトでは山田哲が“ソウルメート”。寮生時代は必ず、2人一緒に車で移動。車内ではJポップを2人で歌いながら球場入りしていた。

★教員免許を保持 国学院大では人間開発学部健康体育学科に進学。高校の保健体育の教員免許を持っている。大学4年時に母校の金沢西で約1カ月間の教育実習に赴いた際の“教え子”が、昨秋のドラフト会議でソフトバンクから6位指名された泉圭輔投手(21=金沢星稜大)。同一リーグとなり、対戦を楽しみにしている。

★宮本門下生 ヤクルト宮本ヘッドコーチから薫陶を受けた。同僚だったのは新人時代の13年のみだったが、14年1月に松山での自主トレに訪れた同コーチのノックを受けて助言も受けた。目標とするプレーヤーでもある。