“大王”のバットが、止まらない。新加入の日本ハム王柏融外野手(25=台湾・ラミゴ)が24日、オープン戦初戦となった巨人戦(沖縄セルラースタジアム那覇)で4番に座り、先制適時打を含む2打数1安打1打点。練習試合を含めた実戦で、8試合連続安打を記録した。台湾代表の先輩、巨人陽岱鋼外野手(32)との対戦も実現。ノリに乗ってる打撃で、オープン戦も打ちまくる。

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「台湾の4割打者」は、オープン戦に入っても絶好調だ。日本ハム王が、4番の仕事をやってのけた。3回だ。2死三塁、カウント1ストライクからの2球目、内角高めの直球をフルスイングした。打球は詰まりながらも、右前へぽとりと落ちる先制の適時打。「感覚とタイミングの取り方を大切にしている」と、さらりと言ってのけた。

もう、1安打くらいでは驚かない。1回の第1打席で自打球を右膝の下に当てて痛がったが、影響を感じさせない打撃で存在感を示したのは、さすが。栗山監督は「詰まったけど、打ち方がいい。しっかり結果を出してくれている」と早くも信頼を寄せている。大事を取って、4回裏の守備から退いたものの、2打数1安打1打点で練習試合を含めた実戦8試合連続で安打。通算打率は驚異の6割1分1厘となった。

試合前の練習では、台湾代表の先輩で、過去に日本ハムでもプレーした巨人陽と再会を果たした。じっと王の打撃練習を見つめていた陽は「代表で何度も一緒にやっているから、よく知っている」と、新しく日本球界に加わった挑戦者を歓迎する。王は「日本で同じ台湾の選手と対戦することが出来て、すごく興奮している」とオープン戦1試合目で実現した“台湾対決”に、珍しく声を弾ませた。

この日、台湾のスター2人の対決に、故郷からはテレビ局や新聞社などの主要メディアすべてが集結した。20年以上も取材を続けるベテラン野球記者は「王は長年台湾球界で活躍した身近な存在で、人気が高い。オープン戦のこの時期に、これだけ打ってるのは初めて見る」。台湾で16年から2年連続打率4割超を記録したヒットメーカーは、日本デビューの今季、果たして、どんな結果を残すのか。故郷台湾の期待は、膨らむ一方だ。【中島宙恵】

▽NPBの台湾出身の登録選手は今季、日本ハム王柏融、巨人陽岱鋼も含め両リーグ計10人(育成含む)。球団別では西武の廖任磊投手ら3人が最多、ロッテがチェン・グァンユウら2人、楽天、オリックス、阪神に各1人。オリックス育成の張奕投手は陽岱鋼のいとこにあたる。