西武栗山巧外野手(35)が、バックスクリーン弾で宿敵ソフトバンクを突き放した。開幕カードと同じ、敵地でのソフトバンク戦。「7番指名打者」で先発すると、第2打席の3回2死一、二塁で、武田のスライダーを振り抜き「うまく打てました」。一直線の125メートル弾となる3ランでリードを広げた。

埼玉・所沢での残留練習から合流したばかり。ベンチでハイタッチする右手のひらには長さ4、5センチの傷痕が残っている。日本ハム清宮と同じ有鉤(ゆうこう)骨骨折を06年8月1日のロッテ戦で負った。空振りした際に「グチャってなった」。しかしそのまま打席に立ち、左中間最深部へ満塁弾を放ち翌日登録抹消。そのままシーズン終了となった。

当時を振り返り「集中的に、ここに力が加わって折れた」と勲章をなぞった。同じ運命をたどった16歳年下の日本ハム清宮に「清宮君に関して言えば、まだ今でよかったと思う。8月とか本塁打王争いしているタイミングじゃない。1カ月半くらいあればバットは振れる。1つ言えることは、骨を取ってしまった人には、いつ折れるか分からないリスクはもうなくなる。僕にはもうないですから」と身をもって証明。13年前と変わらぬパワーが何よりの証し。野手最年長の栗山が、山賊打線に切れ目を与えない。