未来の主軸が、規格外のパワーを見せつけた。日本ハムのドラフト4位、万波中正外野手(18=横浜)が“プロ1号”を放った。6日、イースタン・リーグ春季教育リーグのロッテ戦(ロッテ浦和)に1番右翼で先発フル出場し、第3打席で左越え2ラン。紅白戦も含め実戦3試合、7打席目での初安打が豪快弾となった。今季から野手転向の白村明弘(27)は実戦初打席で初安打をマークした。

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ど派手な1発だった。万波が「オッシャー」と叫びながら放たれた打球は、大きな弧を描いて左翼の防球ネット中段にぶち当たった。推定120メートル弾。「まっすぐを待つ中で、当てにいかずに強く振って、甘い球を1球で仕留められたのはよかった」。6回無死一塁、2番手酒居の直球を完璧にとらえ、プロ入り後の実戦初安打となる豪快なアーチを架けた。

掲げたテーマを貫いた。「ストライクをどんどん振ること」。3日、フル出場したDeNAとのオープン戦(札幌ドーム)で本拠地デビュー。右翼守備でフェンス際の飛球を好捕したが、打撃では3打数無安打2三振。この日も1、2打席目ともに空振り三振に倒れ、初対戦の投手にタイミングを崩されていた。「とにかく気持ち的に差し込まれたくなかった。どんどんストライクを振っていこうという意識で臨んだ」。信念を曲げず、実戦7打席目で結果につながった。

練習の虫だ。1月の新人合同自主トレ、2月の沖縄・国頭2軍キャンプで、練習から最後に引き揚げるのは、決まってといっていいほど万波だった。時間さえあれば振り込む。2軍の休日となった試合前日の5日も、早朝から誰もいない鎌ケ谷の室内練習場で1人、打撃マシン相手に黙々とバットを振る姿があった。「ある程度やらないと、納得する感覚がなかなかこないタイプなので」と笑う。

この日、ロッテとのオープン戦(鎌ケ谷)の試合中に万波の結果を伝え聞いた栗山監督は「試合になると、全然良くなるタイプと分かった。飛ぶよね。前に進んでくれたらうれしい」と話した。万波は4打席目の内野安打で複数安打も記録し「今日からスタートだと思っている。一喜一憂している場合ではない。よくても悪くてもまた明日切り替えてやっていければいいと思う」。大型スラッガーは浮かれることなく、前に進む。【山崎純一】

◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)

◆生まれ 2000年(平12)4月7日、コンゴ出身の父と日本人の母の間に生まれた。東京都出身。

◆球歴 小学2年から野球を始め、開進二中では東練馬シニアに所属し、外野手兼投手。横浜では1年春からベンチ入り。横浜スタジアムのバックスクリーン直撃弾など高校通算40本塁打。

◆甲子園 夏は1~3年時すべて出場。1年時は出番なしも、2年時は敗れた1回戦(対秀岳館)で5番右翼で先発し、マウンドにも上がった。3年時は4番で3試合に出場。ドラフト2位野村の花咲徳栄と対戦した2回戦は無安打も、金足農に敗れた3回戦はドラフト1位吉田輝から5打数2安打だった。

◆身体能力 50メートル走6秒2、遠投110メートル。中学では陸上部に所属し、砲丸投げで東京都大会優勝。

◆家族 両親と姉。

◆サイズ&投打 190センチ、90キロ。右投げ右打ち。