侍ジャパンから帰ってきたソフトバンク甲斐拓也捕手(26)が、巨人戦(北九州)でチーム復帰即2ランを放ち、打てる捕手への成長をアピールした。6回無死二塁。代打で登場すると左腕高木の外角直球を逆らわず右翼席へ豪快に運んだ。「右方向に強い打球が打てているし、いい感じでとらえている」と喜んだ。

今年は右打ちのうまさが際立つ。2月27日、宮崎・アイビーでの西武との練習試合でも高めのスライダーを右翼席へ2ラン。9日の侍ジャパン対メキシコ戦でも、4回に右前へライナーで運ぶ適時打を放った。工藤監督は「逆方向へいい打球を打っている。ああいう意識で打席に入ると打率も上がる。彼の力なら逆方向にも入る」と笑顔だ。

甲斐は「少しずつだけど、やってきたことが出せている。夏場になると疲れてくるとバットが振れない時期があるので」と説明した。昨年は6月から8月までの3カ月間、各月間打率が1割台に落ち込み、終盤は代打を送られるなどシーズンも2割1分3厘に終わった。その反省をもとに、今季は夏場を乗り越えるべく、上体の力に頼らずコンパクトに振る打撃を意識。さらに右方向への意識も強く持つ“19年型打法”で、打撃面の成長を示している。

北九州は正捕手となった17年に1試合2発を含む2試合6打数4安打5打点と大暴れした球場。「何もないですよ」と照れ笑いしたが、相性のよさを発揮した。森ヘッドコーチは「拓也(甲斐)が独り立ちしてくれれば、捕手2人制でもいい」と話す。不動の正捕手へ、バットでも数字を残す。今年の武器は、強肩だけではない。【石橋隆雄】