オリックスが昨年のリーグ王者を相手にミラクルを起こした。5点を追う9回。1点差まで追い上げ、2死二、三塁で打席には売り出し中の西浦颯大外野手(19)が入った。「最悪つまってもいいと思って打席に入った。ここで決めたら最高だなと思っていました」。西武高橋光の投じた内角高め直球を中前にはじき返す。4試合連続タイムリーは劇的なサヨナラ打となった。

世代交代が急務のチームで、近い将来、中心を担う若手が大逆転劇の主役になった。流れを呼び込んだのは、「ラオウ」こと杉本裕太郎外野手(27)だった。9回1死一塁で、高橋光の変化球を豪快なスイングでとらえた。「打った瞬間、いったと思った」。左中間へ2戦連発の特大2ラン。昨年7月に2試合連続で満塁弾を放った勝負強さは健在。連日のアピール弾に西村監督は「チームとしても大きい存在になりつつある」と開幕1軍をグッと近づけた。

杉本の号砲をきっかけに、小島、佐野の連打などでチャンスメーク。2死満塁で福田が二ゴロに仕留められるも、一塁までの全力疾走が相手のミスを誘い、西浦のサヨナラ打につなげた。この日は福田、西浦の1、2番コンビは凡退が続いていた。試合中に西村監督から「1、2番が機能していない」とゲキを飛ばされた。西浦は「悔しかった」と最後に意地を見せた。

シーズンにとっておきたいほどの粘りに、指揮官は「みんなつないでくれて、最終的にいい形で勝てた。勝つことが一番。あの点差をひっくり返したというところですね」と喜んだ。逆境をはね返した若手の力は、開幕への弾みになる。【古財稜明】