守護神の座は譲らない。楽天松井裕樹投手がDeNAとのオープン戦で9回を3者凡退で締めた。掲げる「脱力」とは裏腹に、最初はあえて力んだ。

キャンプ中に腰の張りを訴え、3月に入ってブルペン投球を再開した。「恐怖というものがあった。そこを破ろうと」。最速150キロに届いた直球は高めに浮いても、全く痛みがないことを確認した。「2人目から力を抜きたかったけど…。そこは自分の中で物足りない」。どうしても力が入った今季初実戦に苦笑しつつ、表情は明るい。

もう1つのテーマである「緩急」。曲がりを小さく、高速化したスライダーとの組み合わせを考え、投じた1球のカーブについて「大事にしていきたい」と言った。打者の目先を変えるだけでなく、松井にとって自然と理想的な投げ方できる球種だからこそ、試合中であってもフォームの乱れを整えられる側面もある。平石監督は「(抑えの)最有力候補」と明言するが、本人は「競争して、信頼してもらえるように試合で結果を残す」。甘えなく、居場所を勝ち取りにいく。