ソフトバンク上林誠知外野手(23)が「イチ流」ではい上がる。オープン戦で打率1割ちょうどと苦しむ若きスラッガーが、幼い頃から憧れるマリナーズ・イチローの日本凱旋(がいせん)試合をテレビ観戦し、奮い立った。

仙台育英時代は「みちのくのイチロー」と呼ばれ、ソフトバンクでは同じ背番号「51」を背負う。前日18日のマリナーズ-巨人戦をテレビで観戦し、24打席連続無安打のイチローに感じるものがあった。「あの人が打てないんだったら、ぼくなんか。会見では『(08年に)オープン戦で26打席ノーヒットでも、シーズンで200本打った』と言っていた。それを聞いて、楽になった」。憧れの存在が不振でも前を向く姿に励まされた。

上林はキャンプ中に右臀部(でんぶ)を痛めて出遅れた影響もあり、打撃不振が続く。17日ヤクルト戦では安打が出たが、それまで4試合17打席で無安打だった。この日は筑後のファーム施設でチーム練習に参加し、全体練習後も1人居残りでロングティーを打ち続けた。「大きく打つことが大事。いい打球の時は打ち方が分かってくる。繰り返すことで、体に染みこませる」。昨季シーズン中に調子が落ちたときにも取り組んでいた練習法で、状況を打開しようと動いた。

開幕までオープン戦は残り5戦。「ここ2年の実績がなかったらやばかった。監督にもまだ見放されていない。最後の最後までいろいろやりながら、何かつかみたい」。もがき続けて、万全の開幕を迎える。【山本大地】