広島床田寛樹投手(24)が20日のDeNA戦(横浜)で5回6安打1失点と好投し、開幕準備を完了した。4番筒香からストレートとカーブで連続三振を奪うなど、リーグ屈指の強力打線から計7奪三振。打線の援護がなく負けがついたが、首脳陣の信頼をまた深めた。開幕2カード目の4月3日中日戦(ナゴヤドーム)に先発する見込み。ジョンソンと並ぶ左の柱として、チームをリーグ4連覇へ引っ張っていく。

  ◇    ◇    ◇

床田は渾身(こんしん)の148キロを投げ込んだ。外角いっぱいを狙ったが、真ん中に入った。それでも筒香のバットに空を切らせるには十分だった。1回2死一塁から、文句なしの空振り三振。さっそうと三塁側ベンチに引き揚げた。「たまたま三振になってくれた。厳しいところにいかないと」。豪快な力勝負を、苦笑いで振り返った。

3回には雪辱を狙う筒香を返り討ちにした。今度は緩いカーブだ。2死一塁から、真っすぐ2球で追い込んだ3球目。筒香はまったく反応できなかった。「見逃し三振になっちゃったんですけど、カーブももっと厳しく投げないと」。日本を代表する4番打者から連続三振を奪っても、床田は満足していなかった。

DeNAの強打線から、筒香の2つを加え、計7奪三振。4回に連打で1点を失ったが、続く大和を併殺打に仕留めるなど粘りも見せた。緒方監督は「入りはよかったし、前回(課題のあった)セットからの投球も修正していた。ぜんぜんOK」と話した。DHを使わず9番打者として打席に立たせたのは、シーズンを見据えてのシミュレーション。すでに戦力として計算している証しだった。

今季のキーマンになる。1年目の17年に開幕ローテ入りしたが左肘を故障。靱帯(じんたい)を再建する「トミージョン手術」を受け、1年間マウンドから遠ざかった。昨年復帰したが登板は2軍戦のみ。そんな男がオープン戦4試合で1勝1敗、防御率1・59。この日は援護なく負けがついたが、信頼度は抜群。開幕2カード目の3日中日戦に先発する見込みだ。

怖いもの知らずだった1年目とは違う。思い切りのよさと粘りの源は「投げられる喜びを感じる」という感謝の心。どん底からはい上がった床田がチームを引っ張っていく。【村野森】