楽天美馬学投手(32)が、30日のロッテ戦で平石洋介監督(38)に初勝利をプレゼントした。5回5安打3失点。先制こそ許したが、最速146キロを計測した直球は力強く、そして無四球。きっちり試合をつくって援護を呼び込んだ。

6度目となる右肘手術を受ける直前の昨年8月2日のオリックス戦以来となる公式戦登板。「3失点だけど、久々のマウンドで、ちゃんと投げられたのが一番うれしい。去年つまずいた印象を何とか払拭(ふっしょく)したかった」と投手として本能的な喜びがあふれた。

記念の1球は、9回を3者連続三振で締めた松井から平石監督に手渡された。美馬が「やっと渡せました」と声を弾ませた理由がある。平石監督代行が初勝利を飾った昨年6月17日の阪神戦に先発。シーズン初白星だった自身への気遣いから「気持ちだけで十分」と受け取ってもらえなかったウイニングボールを、今度こそ贈ることができた。エース則本昂が右肘を手術し、岸も故障で登録抹消。「次はもう少し安心して見てもらえるように、ランナーを出した時がやっぱり課題。でも、去年の開幕時点よりは、間違いなくいい」。軸として投げる覚悟を示した。【亀山泰宏】