創部2年目を迎えたばかりのクラーク仙台(宮城)が、3-2で至学館(愛知)を破り、男女通じて東北勢初制覇に王手をかけた。7回で決着がつかずタイブレークに突入。1点を勝ち越した8回裏無死満塁で、エース右腕・小野寺佳奈(2年)が圧巻の3者連続三振で締めた。女子高生史上最速125キロをマークした前日の準々決勝からの連投でも、4安打8奪三振で存在感を示した。2年生11人だけで1学年上の強豪を連続撃破。決勝では、連覇を狙う神戸弘陵(兵庫)と対戦する。

最後は120キロの外角低め直球。小野寺は最後の力を振り絞り、右腕を振った。「1番を背負っているので、絶対に抑えなくてはいけないと思って投げました。疲れがある中でも自分の真っすぐで打ち取りたかった」。球審のストライク判定に、ベンチの2人を含む仲間10人がエースのもとに駆け寄った。小野寺も両手を上げてガッツポーズし、高橋結央捕手(2年)と笑顔で抱擁。歓喜の輪が広がった。

男子と違い、延長戦はなし。2-2で7回終了後、無死一、二塁からのタイブレークに突入した。1点の援護をもらった8回裏、小野寺のバント処理失策で無死満塁のサヨナラ敗戦危機。伝令が送られ、マウンドで肩を組み、元気と闘魂注入。「今までやれることはやってきたので、三振を取りにいきました」。前打席で適時三塁打を喫した1番打者に直球を7球続け、外角高めで空振り三振。「そこで気持ちは楽になった」。球速もキレも増して、見逃し三振2連発で会場の拍手と大歓声に包まれた。

大船渡(岩手)の最速157キロ右腕・佐々木朗希(3年)が今季練習試合初登板で日米18球団のスカウトを驚かせた前日3月31日。小野寺も女子高校球界初の125キロを記録し、会場をどよめかせていた。「私も日本一の投手になりたいので、佐々木投手の存在は勉強になる。まずは高校日本代表。プロ野球選手になりたいです」。女子高野連幹部からは、早くも飛び級での女子侍ジャパン入りの声も挙がっている。

男子では1915年(大4)に秋田中(現秋田)が準優勝して以降、昨夏の金足農(秋田)まで春夏通算12度、決勝の分厚い壁にはね返されてきた。「11人全員で全国制覇したい」。ひとあし先に、悲願の大優勝旗を東北に持ち帰るつもりだ。【鎌田直秀】