オリックスが開幕7戦目にして今季初勝利を挙げた。4試合にまたがり28イニング続いた無得点を止めたのは、ドラフト2位の頓宮裕真内野手(22=亜大)だった。

敵失と死球が絡んだ4回無死満塁の好機で楽天安楽から左前へ先制適時打。「思わず出た」と右腕で作ったガッツポーズを一塁ベンチへ突き上げ、走った。風穴をあけた一打がそのまま決勝打に。開幕から7戦勝ち星なしならば、阪急時代以来58年ぶりという苦しいチーム状況を救った。

「初めてのシーズンで、勝つことがどれだけ難しいかと分かった」

開幕から全試合に「5番三塁」で先発出場。開幕戦で適時打を放ったが、その後はチャンスでの1本が遠かった。長打力を生かすため、プロ入りを機に捕手からコンバートされた三塁守備でも「悩んでいた」と言い、2日ソフトバンク戦では2者連続の失策が失点につながった。

「眠れない」とこぼすルーキーを心配した西村監督は6戦未勝利の中、練習中に「失敗してもいい。守備も失敗していい」と語りかけ、起用を続けた。「吹っ切れました」という頓宮の一打に小田が犠飛で続き、ベンチに明るさが宿った。

5連勝だった楽天の勢いを止め、オリックスでの監督初勝利を挙げた西村監督は、ズボンの右後ろにウイニングボールをしまった。「勝ちはなかったが、気持ちを落とすことなく、元気よくやっていた。そのうち勝てると選手を信じていました」。4年連続Bクラスからの巻き返しはここから始まる。【押谷謙爾】