やっとこの瞬間が来た。阪神ランディ・メッセンジャー投手(37)が、“10度目の正直”で日米通算100勝を達成した。1-1の4回に鈴木にソロ本塁打を浴びるも、粘りの投球で6回4安打2失点で降板。直後、代打中谷が逆転の2ランを放った。「チームにとっても大きい勝利。今日はみんながしっかり守ってくれて、打つべきところで打ってくれたよ」。

節目の白星は連敗を4で止める価値ある勝利。矢野監督も「いやあ良かったよね。まずは100いったので、ここから110、120とどんどん行ってもらったらうれしいです」と賛辞を送った。

昨年、メッセンジャーは妻のベネッサさんが翻訳してくれたある記事を読んだ。記事の主人公、京都共栄学園野球部の三木慶太さんは6年前、福知山花火大会の屋台爆発炎上事故に巻き込まれ、大やけどを負った。困難を乗り越え努力する姿に心を動かされたメッセンジャーは、サイン入りユニホームと自著を送った。

昨年10月上旬、本のお礼にやってきた三木さん家族と対面を果たした時、メッセンジャーは「Keep Same(いつも同じように)」という言葉を伝えた。「もっといい選手はたくさんいた。だけどいい時悪い時で、気分で落ち込んだり、ふてくされたり、またおごってしまったり。そのムラで野球が出来なくなっていったんだ」。ナイターの試合で遅くなっても、毎日朝早く起きて、子どもたちと一緒に朝食をとる。勝っても負けても同じ朝を迎える。その言葉を胸に、ここまで活躍し続けてきた。

昨季は8月上旬に日米通算99勝としたが、そこから8戦白星がつかず。今季開幕戦を含めて9戦持ち越された。待望の100勝。それでも見すえるのはその先だ。「うれしいのはうれしいけど、自分としてはNPBだけの100勝に意味がある。その時にもっと大きく喜びたい」。日本での100勝まではあと4勝。来日10年目の助っ人は腕を振り続ける。【磯綾乃】

 

阪神矢野監督(メッセンジャーについて)「今日は苦しい展開で良く粘って投げてくれた」

阪神福原投手コーチ(メッセンジャーについて)「良かったよ、梅野もいいリードをしてくれた。今日はランディがよく頑張ってくれて、日米100勝してくれて良かったです」