楽天福井優也投手(31)が714日ぶりの復活勝利を挙げた。序盤は制球が定まらず2点を失うも、大崩れせず。山賊打線を相手に6回を5安打2失点にまとめ、広島時代の17年4月26日巨人戦以来の白星をつかんだ。昨年11月にトレードで広島から楽天に加入。新天地での新たな1歩が、チームを単独首位に導いた。

   ◇   ◇   ◇

714日ぶりの勝利の味をゆっくりとかみしめた。福井は「うれしいです。本当に久しぶりなので。勝つのは難しいと分かっていましたし」と言葉を紡いだ。

気温2度。4月とは思えない寒さの中、懸命に右腕を振った。3回まで3四球。荒れ球を抑え込もうとはしなかった。2点を奪われて、なおも2死一、二塁。フルカウントから森に投じたのは134キロの外角低めのフォーク。四球を恐れない攻めの投球で中飛に抑えた。「1点を取ってくれた後に2点でしのげたのは大きかった」とリズムに乗ると、中盤4回から6回まで無失点。山賊打線を6回2失点に封じた。

心の変化がマウンドでの変化に表れた。今オフに広島から楽天に加入。「トレードで来て、楽しく野球ができてます。目標ができて、チームに貢献したい。ゲームを壊さないようにとやりがいをもってできている」と笑う。広島時代は知らず知らずのうちに、ドラフト1位の重圧を背負っていたことに気づいた。

だからこそ、開き直ることができた。この日は6回までに4四球。それでも「自分の感覚がない四球はなかった。栗山さんの四球以外はそんなに悪くなかった」と四球を恐れなくなった。「移籍して1年目なので新人の気持ちです。相手バッターも僕のことを分かっていないし、僕も怖いイメージがない」と話す。セ・リーグからパ・リーグに移ったことで、のびのびと腕を振る喜びを見いだした。

チームも17年8月14日以来、604日ぶりの単独首位に浮上。平石監督は「まだ11試合でしょ。全然気にしていない。目の前の試合に全力で行くだけ。でも福井が強気な投球をして勢いの乗れた」と右腕の力投をたたえた。目指すは全試合終了時点での頂点。今年の楽天は強い。【島根純】