停滞ムードをメジャー流調整で一掃した。日本ハムは12日、ロッテ戦(札幌ドーム)に4-1で勝利し、昨季からカード6連勝。4回に王柏融の犠飛で1点を先制すると、追いつかれた後の6回には、不振だった中田翔一塁手(29)の右中間適時二塁打などで3点を勝ち越した。

この日、遠征先の福岡から大移動。4月初の本拠地公式戦で試合前練習を行わず、疲労回復を優先した栗山英樹監督(57)の英断が奏功した。

   ◇   ◇   ◇

福岡から札幌へ、直線距離で1400キロ超の大移動後のナイターを、軽やかに乗り切った。栗山監督は「普通のチームは早く来てバッティングをやるんだろうけど。それより試合が大事だろ」。試合開始4時間前から約2時間の全体練習を行うホームチームの“常識”を覆し、練習時間を大幅カット。指揮官の英断が、3カード連続で勝ち越しがなく停滞気味だったチームの雰囲気を一掃した。

4月2日から始まった長期遠征。ようやく本拠地へ戻ったこの日、負担軽減を重視し、福岡から直行便での移動にこだわった。「朝早く選手を起こして(航空機を)乗り継ぐより楽。1日、練習をやらないくらいでどうのこうのなら、それ自体ダメ」。わずか30分の練習で本番に備えたが、チームは4回に1点を先制。6回には、不振から試合前に志願のフリー打撃を敢行した4番中田に29打席ぶりの適時打も生まれて、一気に3点を勝ち越し。中田は「これから状態が上がらない時も辛抱強くやっていくしかない」。「なかなか一気にいけない試合が続いていたけど、久々に上がっていく試合ができた」と指揮官も納得した。

開幕直前の3月17、18日。アスレチックスとの練習試合で、ヒントをもらった。メジャーでは、移動日の試合やナイター翌日のデーゲームで、試合前の練習をほとんど行わない。普段は“練習の鬼”と化す西川ですら「メジャーのチームを見て、学ぶべきところがあった。練習をしない時があってもいい。(日程が)しんどい時のためにも、新しい調整法を試していけたら」と、前向きに捉えた。

地球1周が4万キロとされる中、昨季の日本ハムの総移動距離は球団計測で4万8698キロ。合理的な調整法を織り交ぜ、長距離移動と過密日程を苦にせぬチームを目指す。【中島宙恵】

◆レンジャーズなどでプレーした建山義紀氏 (米国では)1日くらい練習をしなくても、技術は変わらないという考え方が浸透。なによりコンディションを優先する。移動ゲームの日は全体練習は行わず、メニューは個人に任される。またナイター翌日のデーゲームになると、練習をしないだけではなく、球場に集合する時間も遅らせる。睡眠時間もしっかり確保でき、助かった。