いよいよ、挑戦の時が始まる。東京6大学野球は13日、神宮球場で春季リーグ戦が開幕する。98年春から42季連続最下位が続く東大は、開幕カードの第1試合で昨秋王者の法大に挑む。前日は東京・文京区の東大球場で練習。創部100周年に主将を務める辻居新平外野手(4年=栄光学園)を中心にチーム力で戦う。

開幕前日のピリピリ感はなかった。いつもどおり午前8時、部員みんなで球場の清掃からスタート。アップ、ノック、打撃と通常メニューが続いた。合間の強化メニューも一緒。浜田一志監督(54)は「我々は、まだうまくならないといけない。だから、開幕のための練習はしない。『明日は50点でも、1カ月後に99点を取れるように』と言っている」。開幕が来ようと、来まいと、少しでもうまくなるための時間だった。

高揚感は嫌でも起こる。辻居は「不安。でも楽しみたい」と言った。「できる限りの準備はした」という自負もある。高校までは軟式で最速133キロ右腕という異色の経歴。遠投100メートル超、50メートル6秒0の身体能力が花開き、2年秋で中堅のレギュラーをつかんだ。打率3割を2回、記録。この春の活躍次第で、ドラフト候補に浮上し得る。東大からプロ入りした選手は6人いるが、いずれも投手として。初めて野手でプロ入りなるか。ただ、主将としての責務が先にある。昨年は1分け20敗。掲げる「最下位脱出」へ、力説した。

辻居 去年は1勝もできなかった。その悔しさは、もちろんあります。でも、本当にやり切った上で負けてこそ、悔しさって出てくると思う。もっと詰められる。まだまだ追い込める。

節目の開幕も、うまくなる途上の通過点。100点に近づくために、まずは王者に挑む。【古川真弥】