大歓声の中、広島会沢が打席に向かう。緒方監督はその背中を「ああ、打てるんだろうなという感じがしていた」と見守った。延長10回裏1死満塁。パットンの2ボールからの3球目をたたいた。サヨナラの打球が中堅桑原の頭を越えた。

会沢 心は熱く、冷静に。相手がアップアップなのは分かっていた。みんながつないでくれて、これだけのお客さんが応援してくれた。何とかかえそうと思って打席に入りました。

18試合目にして初めての連勝で、いずれも本領発揮の逆転勝ち。開幕から6カード連続勝ち越しなしと苦しんだが、選手会長のバットが打ち破った。

今永攻略へ打線を組み替えた。野間を2戦続けて外し、松山もベンチスタート。5番に長野、6番にはこの日1軍初昇格させた高橋大を抜てき。今永は仕留められなかったが、緒方監督は「こういうゲームを粘り強く、僅差のゲームを勝てたのは一番大きい」。苦しみ続けた王者が、反攻へのきっかけを確かにつかんだ。