西武山川穂高内野手(27)が、球史に残るレジェンドに肩を並べた。2回に先制となる推定飛距離145メートルの特大9号ソロを放つと、続く3回には左翼スタンド中段へ高々と運ぶ115メートルの10号2ラン。2年連続の両リーグ2桁一番乗りは、王貞治ら名だたるホームランアーチストだけ。2発合計260メートル弾で、前夜の5時間21分ドローゲームのモヤモヤを海の向こうへ吹き飛ばした。

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上空の逆風をさらに越えて、飛んでいった。山川は高く高く上がった打球を見上げた。左翼から本塁方向へ吹く風速6メートルの風をものともせずに伸びていく。西武ファンが待つスタンドを越え、最後方にそびえ立つスタンド最上部の照明下の壁へ直撃。「逆に風があってよかった。(ファウルに)切れなかったので」。9号ソロはもう少しで場外弾となる推定飛距離145メートルとなる特大の一撃。チームに先制点を呼び込んだ。

相手指揮官のリクエストでも判定が覆ることなく、やり直した“どすこいパフォーマンス”とともに山川は勢いづいた。3回の第2打席。初球を捉え、高々と左翼スタンド中段へ着弾する10号2ランで追撃。王、田淵、ブライアントら名だたるスラッガーに並ぶ2年連続の両リーグ最速2桁弾に「感触としては2本目の方がよかった。いいホームランを打てた感じ」と好感触を口にした。

たぐいまれなパワーの出どころは、小指にあった。開幕前オープン戦で死球を受け左手小指を負傷。大事に至らなかったが「バットのグリップに掛かった小指と薬指によって、バットを柔らかく入れられる感覚があるんですよ。ムチのようにはじくというか…。実際は固いのでムチのようにはいかないんですけどね」と指の使い方の重要性を再確認した。新設されたホームランラグーンのはるか上を通過する豪快な2発は、ただ力任せではない。「ラグーンを狙うことはない。打ち損じがラグーンに入ってくれれば」と、万全の小指でムチをはじくように2本合計で260メートルも稼いだ。

前夜の5時間を超える引き分けにも「疲れは気にしていなかった。しっかり食べて、普通に寝られているので」とどこ吹く風。本塁打と打点で打撃部門2冠に立ち「なんでもトップはうれしい。ずっとそこを譲らないで守れるようにしていきたい」と、独走態勢に入る。【栗田成芳】